登攀チーム ひも野郎

傾山二つ坊主南壁を登るために集まった変わり者たちの記録

傾山 二ツ坊主南壁登攀 前半戦の記録  ~第1話 はじまり~

第1話 はじまり

偵察 2021年1月26日 

本来ならアイスクライミングに精を出す季節だが、この年は記録的暖冬。しかも雨予報とあっては何をしようかと迷う。何か面白いものは無いかと、登山大系をパラパラとめくっていると一つの壁が目に留まる。

 

傾山 二ツ坊主南壁】


お隣宮崎には九州を代表する大岩壁が乱立しているが、ここ大分にはあまり知られたマルチピッチの壁は無い。祖母傾は大好きな山域であるし、ネットに情報はまるで無いが、確かに傾きにはデカい壁がある。これは一度見に行ってみようじゃないかと思い立つ。

 

これが長い闘いの始まりだった。

 

雨の中、物好きな仲間2人を連れ立って壁を目指す。山手本谷から南坊主沢、二つ坊主沢とつなぎ、ちょっとした沢登り状態で壁の基部へと登り詰める。雨の中見上げた南壁は、どでかいハングを携え、ミステリアスな雰囲気に包まれている。その姿は恐ろしくも魅力的で、私の心を鷲掴みにした。

 

基部から壁を見上げる

しかしながら、この頃の私にはこの壁を登る力はなく、その後1年ちょっとの間、記憶の片隅へと封印することとなる。

そして2022年ついにこの壁へトライする決心をする。なぜ子供も生まれ忙しくなったこのタイミングでやろうと思ったのかははなはだ謎だが、やりたくなった時がやり時なのだ。

 

その結果、月2,3日程度の貴重なクライミングDayのほぼすべてを約半年にわたってつぎ込むことになろうとは、この時はまだ知る由もない・・・

雨の中ガレ沢を詰めあがる

 

 

 

 

二つ坊主基部から見る「吉作落とし」

怪しげな岩壁が続く

・・・第2話 「離陸」 へ続く