登攀チーム ひも野郎

傾山二つ坊主南壁を登るために集まった変わり者たちの記録

はじまりの谷 阿蘇 松ガ尾

2023年1月29日 阿蘇 松ガ尾谷



僕のアルパインライミングはこの谷から初まった。


5年前、僕はこの谷に跳ね返され、この谷に生かされた。


あの頃、アルパインのアどころか、クライミングのクも良く分かっていなかった僕は、この谷で正に九死に一生を得る経験をした。

阿蘇山から「力をつけて帰ってこい」と言われた気がした。

 

あれから5年間、それなりに幅広くクライミングをしてきたが、松ヶ尾は常に心の片隅にあった。

そして2023年1月29日、ようやくこの谷舞い戻る機会を得た。

 

改めて松ヶ尾を登り感じたことは、この谷は総合力を試される谷だということ。
岩、ミックス、アイス、ルートファインディング、下降技術。そして体力と気力。それら全てを順番に試されているような谷だった。

 

5年前に叩き落とされた滝は、今登っても十分難しく、雄叫びをあげながらの突破になった。

 

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5年前はここで…

 

その先は次から次へと登場する氷瀑。ゆるい滝はフリーでどんどん行かなければ、時間が足りない。

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詰め上がりのルートファインディングは間違えば奈落。精神を削られた。

 

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間違えば、袋小路

 

 

下降は言わずもがな。

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いつの間にかすっかり夜に…

 

この谷を初見で事前情報無しで突破できる人がいたら、それは相当の実力者と見て間違い無いだろう。

 

今の自分は、途中までの記憶と事前情報たっぷり入手して、ほぼ全力。良くもまぁ五年前無事だったと改めてホッとした。

 

僕の懸垂の手際の悪さで、しっかりヘッテン下山になってしまったが、これもまたアルパインの醍醐味。

 

仙酔峡のベンチで兄貴とY姉さんと3人並んで見た、鷲ヶ峰と星空がとんでもなく美しく思えた。

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こんな経験ができるのも兄貴をはじめ多くの仲間に支えられてこそ。感謝しなくては。

 

松ヶ尾を突破した暁には言いたかった一言。

 


アルパインはじめました。」

 

 

To be continued…

 

 

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